記事公開日
【連載第3回】「論理」で考え「合理」を疑う。明日からできる、動力マネジメント実践法

はじめに:理論から実践へ
これまで2回にわたり、「合理的」と「論理的」の違い、そしてイノベーションの鍵を握る「動力マネジメント」の概念について解説してきました。最終回となる今回は、これらの理論を日々の業務にどう落とし込み、組織を動かしていくのか、具体的な実践方法をご紹介します。
頭で理解するだけでなく、明日からの行動を変えるヒントがここにあります。あなたのチーム、そしてあなた自身の「動力」に火をつけるための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。
思考の使い分け:いつ「合理的」に、いつ「論理的」になるべきか?
重要なのは、どちらか一方の思考に偏るのではなく、場面に応じて意識的に使い分けることです。
【場面1】既存事業の改善・効率化
思考法:「論理的」に課題を分析し、「合理的」な解決策を実行する。
ここでは、明確な目標(KPI)達成が求められます。現状をデータに基づき「論理的」に分析し、最もコストパフォーマンスの高い「合理的」な打ち手を選択することが正解となります。無駄をなくし、生産性を高めるための思考です。
【場面2】新規事業やイノベーションの模索
思考法:「非合理的」な情熱(動力)を起点に、「論理的」に仮説検証を繰り返す。
ここでは、短期的な「合理性」を問いすぎてはいけません。「なぜそれをやりたいのか?」という個人の「動力」を尊重し、その実現可能性を「論理的」に探っていく姿勢が求められます。小さな失敗を許容し、学習を繰り返す中で、未来の大きな成功が見えてきます。
リーダーの役割:部下の「動力」に火をつける3つのアクション
動力マネジメントを組織に根付かせる上で、リーダーの役割は決定的に重要です。部下の「動力」を引き出し、それを組織の目標と結びつけるために、明日からできる3つのアクションをご紹介します。
アクション1:「わがまま」を聴く時間を設ける
1on1ミーティングなどの場で、業務の進捗確認だけでなく、「本当は何がやりたい?」「どんなことに興味がある?」といった、個人の内面に踏み込んだ対話を意識的に行いましょう。一見、現在の業務と無関係な「わがまま」や「夢」にこそ、イノベーションの種が眠っています。
アクション2:「なぜ?」を問い、「どうすれば?」を共に考える
部下から突飛なアイデアが出た時、「非合理的だ」と否定するのではなく、まず「なぜそう思うの?」と動力の源泉を問いかけましょう。そして、その情熱を理解した上で、「どうすれば実現できるか?」を一緒に論理的に考えるパートナーになるのです。
アクション3:小さな「お試し」を許可し、全力で守る
壮大な計画を立てさせるのではなく、まずは小さな予算や時間で試せる「実験」を許可しましょう。リーダーの役割は、その実験が既存の「合理性」の物差しで評価され、潰されないように守ることです。失敗から学ぶ経験そのものが、個人と組織を成長させます。
結論:あなたの「わがまま」が、会社を、そして日本を変える
3回にわたってお届けした「合理的」と「論理的」の違い、いかがでしたでしょうか。
変化の激しい時代において、過去の成功体験に基づく「合理性」は、もはや未来を保証するものではありません。必要なのは、一人ひとりの心の中にある「動力」というエネルギーです。
その「非合理的」とも思える情熱を、「論理」というコンパスを使って組織の未来へと導くこと。それこそが、これからのリーダーに求められる「動力マネジメント」の本質です。
あなたの、そしてあなたのチームの「わがまま」が、会社の、ひいては日本の未来を変えるエネルギーになることを信じています。
第一回:https://hr.my-sol.net/media/useful/a188
第二回:https://hr.my-sol.net/media/useful/a189
第三回:https://hr.my-sol.net/media/useful/a190
https://hr.my-sol.net/contact/