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④「10手先を読む人」と「1手先を読む人」、ビジネスで勝つのはどちらか?将棋の戦略から、未来を勝ち抜く思考法 パート4

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先を読む力:将棋から学ぶ、ビジネスと人生を勝ち抜く思考法 パート4


第4部:人生という大戦略:個人の成長に先見性を活かす

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この最終セクションでは、これまで企業レベルで見てきた「先を読む力」を、私たち個人の人生に応用していきます。人生100年時代と言われる現代、豊かな人生を送るためには、成功する企業経営と同じように、意図的で未来志向のアプローチが必要です。

4.1 長期戦としてのキャリア:「バックキャスティング」の力

「教育→仕事→引退」という一直線のキャリアモデルは、もはや過去のものです。人生100年時代を生き抜くためには、より柔軟で戦略的なキャリアプランニングが欠かせません。

ここで有効なのが「バックキャスティング」という考え方です。これは、現在から未来を予測する「フォアキャスティング」とは逆のアプローチ。まず、理想の未来を具体的に描き、そこから現在に向かって逆算して、その目標達成に必要なステップを洗い出すのです。このプロセスは、キャリアを受動的な職務経験の積み重ねから、能動的で目標志向のプロジェクトへと変えてくれます。

4.2 経済的先見性:複利という最強の「布石」

長期投資は、単なる金融テクニックではなく、「先を読む力」に基づいた戦略的な決断です。それは、短期的な市場のノイズの向こう側にある、世界経済の長期的な成長という大きな流れを捉え、そこに自分の資本を投じる行為と言えます。

リターンがさらなるリターンを生む「複利」の力は、将棋や囲碁における序盤の強力な「布石」のようなものです。始めたばかりの頃は効果が小さく感じられるかもしれませんが、その影響力は時間とともに雪だるま式に増大し、やがて追いつくことのできない大きな差を生み出します。

4.3 「ライフシフト」戦略:人生100年時代を生き抜く自己変革

リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』が示すように、長寿化によって、私たちの人生は複数のキャリアと移行期を持つ多段階のものになります。この新しい現実を受け入れ、計画的に備えることこそが、現代における個人の「先を読む力」です。

この新しい人生の地図を航海するための戦略として、以下の三つのモデルが提案されています。

  • エクスプローラー(探検家): 人生の早い段階で意図的に様々な経験を積み、自分だけの道を見つける。
  • インディペンデント・プロデューサー(独立生産者): 特定の専門性を深く追求し、ニッチな分野の達人になる。
  • ポートフォリオ・ワーカー: 仕事、学習、趣味のプロジェクトなど、複数の活動を同時に行う。

これからの時代に最も重要となるスキルは、特定の技術ではなく、いかに学び、いかに自分を再発明するかを学ぶ「メタスキル」であり、そのプロセスを導くのが個人の先見性なのです。
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結論:未来の観客から、未来の設計者へ

5.1 先見性を鍛える:「意思決定ジャーナル」という心のトレーニング

経験から学ぶ上で最大の障害の一つが、「後知恵バイアス」、つまり「最初からわかっていた」という思い込みです。この認知のワナに対抗する強力なツールが「意思決定ジャーナルです。

やり方はシンプルです。重要な意思決定をするときに、日付、状況、下した決断、その根拠となった考えやデータ、期待する結果、そしてその時の感情を記録しておきます。後日、実際の結果をこの記録と照らし合わせることで、自分の判断プロセスを客観的に振り返ることができます。これは、棋士が自分の「悪手」を見つけるために棋譜を分析する行為の個人版であり、判断力を磨くための心のトレーニングジムとなります。

5.2 熟達への道:生涯を通じて先見性を磨く

戦略的な先見性は、一朝一夕に身につくものではありません。ロバート・グリーンの著書『マスタリー』が示すように、それは長く規律ある修練を通じて磨かれる一つの「技術」です。深い没頭、意図的な練習、フィードバックとしての失敗の受け入れ、そして物事の根底にあるパターンを見抜こうとする絶え間ない探求心が求められます。

5.3 最後に:未来は予測するものではなく、創り出すもの

この記事を通じて、「先を読む力」が単なる予測を超えたものであることを感じていただけたでしょうか。先を読むことの究極の目的は、決められた未来をただ眺める観客になることではなく、現在において力強く行動するための主体性を手に入れることです。

将棋盤上の思考の仕組みを理解し、その原則をビジネスの不確実性に応用し、そしてそれを人生における個人の規律として身につけることによって、私たちは状況に流される駒(ポーン)から、自らが望む未来の設計者へと変わることができます。名人の眼差しは、単に未来を見るためだけにあるのではありません。それは、未来を形作るためにあるのです。

パート1はこちら → https://hr.my-sol.net/media/useful/a148

パート2はこちら → https://hr.my-sol.net/media/useful/a150

パート3はこちら → https://hr.my-sol.net/media/useful/a152

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編集者: マイソリューションズ編集部 https://hr.my-sol.net/contact/

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