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HBM(High Bandwidth Memory)

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High Bandwidth Memory (HBM) について

High Bandwidth Memory(HBM)は、JEDEC(電子情報技術産業協会)によって標準化された、コンピュータのメインメモリなどに使われるDRAMの規格の一種です。Through Silicon Via(TSV)と呼ばれるシリコン貫通電極技術を用い、複数のメモリチップを垂直に積層(3Dスタッキング)することで、従来のメモリに比べて非常に高いデータ転送帯域幅と低消費電力を実現しています。

開発の背景

従来のグラフィックカードなどで使用されていたGDDR5メモリは、データ転送速度の向上が頭打ちになり、消費電力の増大や実装面積の大きさといった課題を抱えていました。特に、AIや高性能コンピューティング(HPC)の分野では、GPUなどのプロセッサが処理するデータ量が爆発的に増加し、メモリの帯域幅が性能向上のボトルネックとなっていました。こうした問題を解決するため、より広帯域で電力効率の良いメモリとしてHBMが開発されました。

技術的な特徴

HBMの最大の特徴は、複数のDRAMダイを垂直に重ね、TSV技術によって直接接続する3D積層構造にあります。これにより、メモリチップとプロセッサ間の配線距離が大幅に短縮され、データ転送の遅延を抑えつつ、バス幅を1024ビットといった広帯域にすることが可能になりました。結果として、GDDR5に比べて劇的に広い帯域幅と低い消費電力を両立させています。

主な用途と市場

HBMは、その高性能さから、当初はAMDのハイエンドGPU「Radeon R9 Fury」シリーズに採用されたのを皮切りに、NVIDIAのデータセンター向けGPUや、スーパーコンピュータ「富岳」や「Aurora」など、高いメモリ性能が要求される分野で利用が広がりました。

近年では、ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及に伴い、AIアクセラレータ向けの需要が急増しています。HBMはAIの学習や推論に不可欠な要素となっており、SK Hynix、Samsung、Micron Technologyといった主要な半導体メモリメーカーが生産を競っています。

課題と将来

HBMの課題としては、製造プロセスの複雑さからくるコストの高さや、高密度実装による発熱対策などが挙げられます。そのため、コンシューマ向けの一般的なグラフィックカードでは、依然としてGDDR6などのメモリが主流です。

しかし、AI分野での需要拡大を背景に、HBMの技術開発はさらに加速しており、HBM2、HBM2E、HBM3と世代を重ねるごとに帯域幅と容量が向上しています。将来的には、さらに高性能化と省電力化を進めた次世代規格「HBM4」の登場も予定されており、今後のコンピュータの性能向上を支える重要な技術として、ますますその重要性を増していくと見られています。

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